砂に堕ちた太陽 【シカテマSS R15】
あ。 シカマル出てこないんだなコレ。
砂3姉弟、というか・・・テマリとカンクロウのお話!
大戦後。 滞っていた次代への政策が無遠慮に進められ、
テマリが花嫁修業を始めましたとさ。
痛々しい部分もありますが、みなさんご存知でしょ、
テマリはどう足掻いても結局はシカマルと結婚して幸せになるんです、
これ公式なんですから!.;+`
というわけで、気楽にお読みいただければ嬉しいです~。
本文は下部の、「 >>続きを読む 」から ↓
砂3姉弟、というか・・・テマリとカンクロウのお話!
大戦後。 滞っていた次代への政策が無遠慮に進められ、
テマリが花嫁修業を始めましたとさ。
痛々しい部分もありますが、みなさんご存知でしょ、
テマリはどう足掻いても結局はシカマルと結婚して幸せになるんです、
これ公式なんですから!.;+`
というわけで、気楽にお読みいただければ嬉しいです~。
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≪ 砂に堕ちた太陽 ≫
ノックもなく、突然扉が開いた。 突風が吹き込み、机上の書類が煽られた。
側近を務めるカンクロウが慌てることなく落ちた所作で書類を拾い集める中、
さらなる風を巻き起こさん勢いで、若いくのいちが風影へと歩を進めた。
(荒れてんじゃん・・・)
カンクロウは飽きれたように口の端を歪ませる。
バンッ。 くのいちは不躾な態度で紙を1枚机に叩き付けると、
「終ったわよ」
ただ一言だけ告げ、開き放ったままの扉から消えて行った。
風影は目の前に置かれた書類を見る。 在館証明書。 任務報告書ではない。
「 言葉使いは成果が表れた、と言っていいか・・・?」
風影はカンクロウを横目に、少し笑みをたたえながら言ったが、
それを受けた実兄はやはり、飽きれたような表情を浮かべた。
「アレくらいの女言葉だったら昔から普通に使ってたぜ」
「・・・そうか。 ではまだ全然、といったところか」
「あんだけチャクラだだ漏れだ、こりゃ尋常じゃないじゃん」
「あ、ああ・・・」
「つっても、でなきゃ嫁になんて行けねーからな。 ま、しょーがねエ」
「あ・・・あぁ・・・・・・・」
相槌をうつも、カンクロウの言っている意味が判らないという表情だ。
カンクロウはひとつ大げさなため息をつくと、笑みを浮かべ風影に言った。
「お前はヒトの心配してる場合じゃねーじゃん。
お前だって、大名相手にしたたかに政治しなきゃなんねーんだ、
姉貴が持ってかれたとしても、幸せになれるよう算段つけてくれよ、風影殿」
そう言うと風影の実兄もまた、執務室を後にした。
カンクロウは実姉、テマリの部屋を訪ねた。 トントントン、ノック。
「オレだ。 ちょっといいか」
中から、いいぞ、と声があったから開いたが、次の瞬間叫ぶしか出来なかった。
「いやダメだろ、てめーバカじゃん!」
着替えていた。 下着姿だった。 結い上げていた髪もほどき、ぼさぼさだった。
キッと睨みつけられ、こっちにこい!と言うかのように腕が振られる。
突風が吹き、カンクロウは前のめりに部屋に吸い込まれた。 扉が勢いよく閉まる。
「っておい!まずはそーいうとこだろ!ちったァ恥らえ!」
カンクロウの勢いに圧され、逆にテマリは気を削がれてしまった。
「弟相手になにを今更・・・・」
「花嫁修業の項目にそーいうとこ入ってねーのかよ!?」
「だいたいお前だって、実姉の裸を見たってどーってことないだろ・・・今更」
「・・・テマリ、」
「なんだ・・・?」
「胸、小さくなったな」
「ハアッ!? ばっ、ばかナニ言ってんだこのバカンクロウ!」
テマリは慌ててシンプルなワンピースを被った。 頬を真っ赤にしているのを見、
(だだ漏れだな・・・)
カンクロウはココロの中で呟いた。
「な、なんの用だ」
腰に手を当て胸をはり、威厳を露骨にあらわにしてテマリはそう言った。
そして続ける。
「さっきの風影室での態度のことなら悪かった。 あれは私も反省している」
(謝罪ってか・・・えらそーじゃん・・・)
「最近身体を動かしていないどころか、じっとしている修業ばかりで苛々してしまった。
言葉尻ひとつ、笑い方さえあれこれ言われる。 まったく、全否定もいいとこだ」
不意に浮かべた笑みは、ついぞ実弟の見たことのないものだった。
静かに、淋しさとあきらめをおびた笑み。 カンクロウはきれいだと感じた。
だからそう、くちにした。
「・・・きれいになったな、テマリ」
「ハアッ!?」
ぎゅっと眉間にシワがよってしまった。 口角も下がり・・・
(可愛げねェリアクションしてんなよ・・・)
カンクロウも思わず同じ表情を作った。 でも、紅潮した頬までは真似られない。
「なにバカ言ってんだ、このバカンクロウっ」
(ソレさっきも聞いたじゃん。 バリエーションねーなァ、ってか動揺してんなよ)
「あーもう、出てけ。 謝っただろ、もういいだろ、出てけ」
背後に回り、強引に背を押された。 さすがにチカラでは負けない弟は足で勢いを殺す。
もうテマリの顔は見られない。 けれどきっとまだ、真っ赤な頬をしている。
(ったく、可愛げねーくせ、かわいーじゃん)
「いや、用はそれじゃねーよ」
「じゃあなんだ、さっさと言え」
まだ背をぐいぐいと押してくる。 踏ん張りとどまる。
「大名らとの晩餐、こちら側の要求は棄却された。 日時はあちら側の指定で明後日になった」
押す手が緩んだ。
「そうか・・・」
「連合への書類提出は上忍に昇格した部下にでも行かせろ」
「ああ、ちょうどいいのがいる・・・」
「・・・テマリ、」
「なんだ・・・」
「生理きてるか?」 ドカッ、
背に一撃を喰らった。 一瞬息が詰まった。
「お前こそデリカシーを学べ! さっきから姉に向かって失礼だぞっ!」
「で、どっちなんだよ」
「きてるに決まってるだろ! そんなメンテナンス、初日にやらされた! もう・・・、
もうこの身体の準備はできている、私は自分の使命をまっとうできる・・・ッ!」
風影の姫として。 風影の姉として。
「わたしは、この血脈をつないでゆく・・・砂のために・・・ッ!」
(ああ、もう・・・ぎゃんぎゃんうるせーじゃん・・・)
「つってもお前、胸、小さくなったじゃん。 やっぱやろーは巨乳が好きじゃん」
「な・・・ッ」
なに言ってんだ、このバカンクロウ・・・とはもう、言わなかった。 言えなかった。
言わせる前に、カンクロウが言葉を継いだ。
「我愛羅が風影に就いたあたり、けっこー胸あったよな」
「そ、それは、ただ全体的に太ってただけで・・・」
「ああ、そうそう。 お前しょっちゅう甘栗喰ってたもんな」
「あ、ああ・・・」
「木ノ葉から戻る奴らみんなして甘栗持って帰ってきてたもんな」
「あ、あれはべつに、私が我がまま言って命令してたわけじゃなく、
木ノ派側が、勝手に・・・」
「んなこと知ってるじゃん」
「・・・・・・・そうか」
「泣けよ」
背から手のひら、こぶしの感触が消えた。 すうっと背後が冷たくなった。
「・・・私は、我がままなんか言わない」
「へえ・・・」
「私は、お前達の姉だからな。 無理も無茶も言うが、駄々をこねたりはしない」
「・・・そうかよ」
「ああ。 どうやら心配をかけていたようだな、悪かったな。 しかし姉思いのいい弟を持ったもんだ、
私はお前達を・・・カンクロウ、お前を誇りに思ってるよ」
明るい声。 だが、震えていた。
「さ、もういいだろ、お前も職務に戻れ。 私もすぐに行く」
「姉ちゃん」
「なんだそのガキみたいな呼び方は。 私の躾係りに叱られるぞ」
「姉ちゃんッ」
テマリは応えなかった。 カンクロウは少しの沈黙の後、声を抑え言った。
「生理前って、イラつくらしーじゃん。 普段は平気なことでも流せなくなって、
普段はなんでもないことにだって、勝手に涙が出たりするじゃん」
「・・・・・」
「オレはこの通りデリカシーがない分、あからさまに下世話にそこんとこ理解してるじゃん。
だからイラつかれて当たられてもどーでもいいし、姉ちゃんが泣いたって、
それこそどーでもいいじゃん。 そんなんでうろたえねーし、姉ちゃんに気なんか遣わねえ。
だから 無理すんなよ、姉ちゃん」
ほどなくして、背中に温もりが戻った。 ぎゅっと額が押し付けられている。 服が握り締められている。
子どものように泣く姉ちゃんを感じながら、弟はずっと目を閉じていた。
おしまい。
ノックもなく、突然扉が開いた。 突風が吹き込み、机上の書類が煽られた。
側近を務めるカンクロウが慌てることなく落ちた所作で書類を拾い集める中、
さらなる風を巻き起こさん勢いで、若いくのいちが風影へと歩を進めた。
(荒れてんじゃん・・・)
カンクロウは飽きれたように口の端を歪ませる。
バンッ。 くのいちは不躾な態度で紙を1枚机に叩き付けると、
「終ったわよ」
ただ一言だけ告げ、開き放ったままの扉から消えて行った。
風影は目の前に置かれた書類を見る。 在館証明書。 任務報告書ではない。
「
風影はカンクロウを横目に、少し笑みをたたえながら言ったが、
それを受けた実兄はやはり、飽きれたような表情を浮かべた。
「アレくらいの女言葉だったら昔から普通に使ってたぜ」
「・・・そうか。 ではまだ全然、といったところか」
「あんだけチャクラだだ漏れだ、こりゃ尋常じゃないじゃん」
「あ、ああ・・・」
「つっても、でなきゃ嫁になんて行けねーからな。 ま、しょーがねエ」
「あ・・・あぁ・・・・・・・」
相槌をうつも、カンクロウの言っている意味が判らないという表情だ。
カンクロウはひとつ大げさなため息をつくと、笑みを浮かべ風影に言った。
「お前はヒトの心配してる場合じゃねーじゃん。
お前だって、大名相手にしたたかに政治しなきゃなんねーんだ、
姉貴が持ってかれたとしても、幸せになれるよう算段つけてくれよ、風影殿」
そう言うと風影の実兄もまた、執務室を後にした。
カンクロウは実姉、テマリの部屋を訪ねた。 トントントン、ノック。
「オレだ。 ちょっといいか」
中から、いいぞ、と声があったから開いたが、次の瞬間叫ぶしか出来なかった。
「いやダメだろ、てめーバカじゃん!」
着替えていた。 下着姿だった。 結い上げていた髪もほどき、ぼさぼさだった。
キッと睨みつけられ、こっちにこい!と言うかのように腕が振られる。
突風が吹き、カンクロウは前のめりに部屋に吸い込まれた。 扉が勢いよく閉まる。
「っておい!まずはそーいうとこだろ!ちったァ恥らえ!」
カンクロウの勢いに圧され、逆にテマリは気を削がれてしまった。
「弟相手になにを今更・・・・」
「花嫁修業の項目にそーいうとこ入ってねーのかよ!?」
「だいたいお前だって、実姉の裸を見たってどーってことないだろ・・・今更」
「・・・テマリ、」
「なんだ・・・?」
「胸、小さくなったな」
「ハアッ!? ばっ、ばかナニ言ってんだこのバカンクロウ!」
テマリは慌ててシンプルなワンピースを被った。 頬を真っ赤にしているのを見、
(だだ漏れだな・・・)
カンクロウはココロの中で呟いた。
「な、なんの用だ」
腰に手を当て胸をはり、威厳を露骨にあらわにしてテマリはそう言った。
そして続ける。
「さっきの風影室での態度のことなら悪かった。 あれは私も反省している」
(謝罪ってか・・・えらそーじゃん・・・)
「最近身体を動かしていないどころか、じっとしている修業ばかりで苛々してしまった。
言葉尻ひとつ、笑い方さえあれこれ言われる。 まったく、全否定もいいとこだ」
不意に浮かべた笑みは、ついぞ実弟の見たことのないものだった。
静かに、淋しさとあきらめをおびた笑み。 カンクロウはきれいだと感じた。
だからそう、くちにした。
「・・・きれいになったな、テマリ」
「ハアッ!?」
ぎゅっと眉間にシワがよってしまった。 口角も下がり・・・
(可愛げねェリアクションしてんなよ・・・)
カンクロウも思わず同じ表情を作った。 でも、紅潮した頬までは真似られない。
「なにバカ言ってんだ、このバカンクロウっ」
(ソレさっきも聞いたじゃん。 バリエーションねーなァ、ってか動揺してんなよ)
「あーもう、出てけ。 謝っただろ、もういいだろ、出てけ」
背後に回り、強引に背を押された。 さすがにチカラでは負けない弟は足で勢いを殺す。
もうテマリの顔は見られない。 けれどきっとまだ、真っ赤な頬をしている。
(ったく、可愛げねーくせ、かわいーじゃん)
「いや、用はそれじゃねーよ」
「じゃあなんだ、さっさと言え」
まだ背をぐいぐいと押してくる。 踏ん張りとどまる。
「大名らとの晩餐、こちら側の要求は棄却された。 日時はあちら側の指定で明後日になった」
押す手が緩んだ。
「そうか・・・」
「連合への書類提出は上忍に昇格した部下にでも行かせろ」
「ああ、ちょうどいいのがいる・・・」
「・・・テマリ、」
「なんだ・・・」
「生理きてるか?」
背に一撃を喰らった。 一瞬息が詰まった。
「お前こそデリカシーを学べ! さっきから姉に向かって失礼だぞっ!」
「で、どっちなんだよ」
「きてるに決まってるだろ! そんなメンテナンス、初日にやらされた! もう・・・、
もうこの身体の準備はできている、私は自分の使命をまっとうできる・・・ッ!」
風影の姫として。 風影の姉として。
「わたしは、この血脈をつないでゆく・・・砂のために・・・ッ!」
(ああ、もう・・・ぎゃんぎゃんうるせーじゃん・・・)
「つってもお前、胸、小さくなったじゃん。 やっぱやろーは巨乳が好きじゃん」
「な・・・ッ」
なに言ってんだ、このバカンクロウ・・・とはもう、言わなかった。 言えなかった。
言わせる前に、カンクロウが言葉を継いだ。
「我愛羅が風影に就いたあたり、けっこー胸あったよな」
「そ、それは、ただ全体的に太ってただけで・・・」
「ああ、そうそう。 お前しょっちゅう甘栗喰ってたもんな」
「あ、ああ・・・」
「木ノ葉から戻る奴らみんなして甘栗持って帰ってきてたもんな」
「あ、あれはべつに、私が我がまま言って命令してたわけじゃなく、
木ノ派側が、勝手に・・・」
「んなこと知ってるじゃん」
「・・・・・・・そうか」
「泣けよ」
背から手のひら、こぶしの感触が消えた。 すうっと背後が冷たくなった。
「・・・私は、我がままなんか言わない」
「へえ・・・」
「私は、お前達の姉だからな。 無理も無茶も言うが、駄々をこねたりはしない」
「・・・そうかよ」
「ああ。 どうやら心配をかけていたようだな、悪かったな。 しかし姉思いのいい弟を持ったもんだ、
私はお前達を・・・カンクロウ、お前を誇りに思ってるよ」
明るい声。 だが、震えていた。
「さ、もういいだろ、お前も職務に戻れ。 私もすぐに行く」
「姉ちゃん」
「なんだそのガキみたいな呼び方は。 私の躾係りに叱られるぞ」
「姉ちゃんッ」
テマリは応えなかった。 カンクロウは少しの沈黙の後、声を抑え言った。
「生理前って、イラつくらしーじゃん。 普段は平気なことでも流せなくなって、
普段はなんでもないことにだって、勝手に涙が出たりするじゃん」
「・・・・・」
「オレはこの通りデリカシーがない分、あからさまに下世話にそこんとこ理解してるじゃん。
だからイラつかれて当たられてもどーでもいいし、姉ちゃんが泣いたって、
それこそどーでもいいじゃん。 そんなんでうろたえねーし、姉ちゃんに気なんか遣わねえ。
だから
ほどなくして、背中に温もりが戻った。 ぎゅっと額が押し付けられている。 服が握り締められている。
子どものように泣く姉ちゃんを感じながら、弟はずっと目を閉じていた。
おしまい。
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